原点は、「リーグ無所属社会人サッカーチームの価値向上」
2007年。代表の大坪は、高校時代の友人を集めて、草サッカーチームを創設します。その当時、大坪は社会人サッカー事情に精通しておらず、社会人サッカーリーグの存在も知らなかったため、「社会人リーグに加入する」選択肢がなかったチームは、リーグ無所属のまま、7人制・11人制の私設大会への出場やTRMを重ね、活動を続けていました。
そんな中、ある日、TRM相手を探す過程で交渉相手チームから「リーグ無所属の社会人サッカーチームと対戦するメリットは何もない。だから、対戦できない」、「リーグ無所属のチームは社会人サッカーチームじゃない」などといった意見をぶつけられます。最初は気にとめていなかったものの、たびたび届く同様の声に、いつしか大坪は「『リーグ所属の有無』は、社会人サッカーチームにとって、そんなに大切なことなのか。自分たちはリーグに所属しなくても、十分、サッカーを楽しみ、相応の実力(参考:当時、東京都2部ほど)もあると思っているのに……」とやるせない気持ちを抱くようになりました。
その思いは、やがて「『リーグ所属の有無』で実力が測られる世界なのであれば、『リーグ無所属』のまま生き続け、将来、世間に認められるリーグ無所属の社会人サッカーチームをつくる。非常識を常識にしてみせる。リーグ無所属社会人サッカーチームの価値を変える」という揺るぎない強い決心に変わります。
これが、原点かつ頂点のVISION.1「リーグ無所属社会人サッカーチームの価値向上」が生まれた背景であり、私たちがリーグ無所属にこだわっている理由です。
現在、チームに所属している人数は、「“勝ち”ではなく“価値”にこだわる」エンジョイ志向の兄弟チーム・illmassive nextを含めると、100人以上。創設からこれまで平坦な道は一つもありませんでしたが、VISION.2「多様性を認め合い社会人サッカーの世界に新しいスタンダードをつくる」も掲げながら、行き着いたPURPOSE(存在意義)「サッカーをやめる人を減らす新しい選択肢になる」を、日々、追求しています。
運営方針|メンバーの社会人サッカー人生を預かる覚悟を持つ
会社と同じで、チームを選び在籍することは、その人の社会人サッカー人生において、とても大きな選択だと考えています。なぜなら、毎日決まった時間に顔を合わせる学校や部活動、職場などとは違い、(一部のセミプロチームを除けば)社会人サッカーの活動日数は少なく、一日の活動の重みが桁違いに重いためです。
だからこそ、illmassiveは、入団の際、面談(という名の会食)や体験参加を重ねて、illmassiveや双方の社会人サッカーに対する価値観、ライフステージや仕事の見通しなどをすり合わせ、ミスマッチが生まれないよう、最大限の配慮をしています。その結果、毎年の退団者がとても少ないチームになりました(毎年2~3人。過去0人の年もあり)。
後述のVISION.1「リーグ無所属社会人サッカーチームの価値向上」の一環でもありますが、「関東でも屈指の環境で一日でも長くサッカーを続けてもらいたい」思いから、毎週土日に都内の好アクセスの人工芝グラウンドを確保、部費の完全無償化、全衣類支給、地域リーグ・都県リーグ1部のチームさんとのTRM実現といった環境を用意し、「メンバーの社会人サッカー人生を預かる覚悟」を持って、日々、運営に当たっています。
VISION.1|リーグ無所属社会人サッカーチームの価値向上
illmassiveの原点であり頂点ともいえるVISION、「リーグ無所属社会人サッカーチームの価値向上」。言い換えると、「地域・都県・市区町リーグに所属しなくても、地域・都県・市区町リーグ所属チームさんたちに負けないくらい魅力的な社会人サッカーチームをつくろう」です。
“魅力的”になる対象は、「①選手を取り囲む環境面(例:活動はほぼ都内完結、部費の完全無償化など)」「②チームの実力(定量的な指標として東京都1部中位レベルを保ち続ける)」「③選手・スタッフ」を指しています。
「リーグ無所属の社会人サッカーチーム」が社会人サッカーの世界で認められるためにはどう行動したらよいのか、何が必要なのか——。illmassiveのメンバー・スタッフには常にこの思考と行動が求められます。
VISION.2|多様性を認め合い社会人サッカーの新しいスタンダードをつくる
「①サッカーの前にまず優先すべきは、仕事・学業で成果を残すこと」
「②平日は仕事・学業に全力を注ぎ、週末はサッカーにおける成果を追求する」
「③選手のライフスタイルを最大限尊重」
この3つは、創設時から大切にしている考えで、「平日のチーム練習はなし。週末の限られた時間で高い競技レベルを保ち(前述のとおり、東京都1部中位レベルを保つ)、多様性に富んだ選手・スタッフの力で成果を最大化する」の活動方針につながっています。
また、創設からこれまで、移籍手続きが必要ない「リーグ無所属」だからこそ受け入れられるさまざまな事情を持ったたくさんの選手たちと出会いました。具体的には、海外移籍を控えた選手、どうしても短期在籍になってしまう選手、仕事・家庭の事情でたまにしか参加できない選手など——です。
他の社会人サッカーチームにはできない唯一無二の立ち位置で社会人サッカーの定義を拡張し、社会人サッカーの新しいスタンダードをつくり続けます。
MISSION|公式戦・TRMで成果を残す
私たちは、MISSIONを「VISIONを達成するための手段」と定義しています。具体的にいうと、illmassiveは一年で4つの公式戦に参加し、その他は毎週TRMを実施しますが、上述のVISION.1 / VISION.2を体現するために、公式戦では優勝、TRMでは勝利を目指して戦います。
illmassiveが特殊なのは、TRMも勝負にこだわって取り組む点。私たちには、「TRMだから負けてもいい」といった解釈はありません。対戦相手チームさんから対戦後に「また対戦したい」と思っていただけることは、何よりもうれしい評価です。
PURPOSE|サッカーをやめる人を減らす新しい選択肢になる
長年かけて2つのVISIONとMISSIONを追求し続けた結果、選手から「illmassiveと出会ったからサッカーをやめなかった」「大学でサッカーは引退したけど、illmassiveがあるから復帰した」といった声が届くようになりました。
気付けば、illmassiveの唯一無二の立ち位置が「サッカーを継続・再開する新しい選択肢」になっていたのです。
年を重ねるごとに増えていくサッカー選手としての引退を少しでも減らし、同時にサッカー選手として復帰する機会を提供し続ける社会人サッカーチーム——。それが、illmassiveの在りたい姿です。